謎の麺類UDON

 4月に四国の高松にて何気なく頼んだ「牛肉ぶっかけ(小)350円」。その際従来の私のうどん観を崩す程の衝撃を受けました。これらは今まで食べてきたうどんとは異なると本能的に悟り、以後これらを「UDON(Unknown Divine Overcoming Noodle)」と呼称。幸いにもそれからも何度か高松に足を運ぶ機会があったため、他店のUDONもいくつか試し、自分の中のUDON観が固まってきたので筆をとりました。
なお以下で書かれるものはあくまで私個人の経験・感想・知識に基づくものであり、偏見・誤った知識・特殊な嗜好 等々が多く含まれていることをご了承ください。


UDONとは何か、その魅力
 さてまずUDONとうどんの違いとは何かから説明していきたいと思います。
 違いを一言で言うなれば料理全体における麺の重要性の違いです。一般的にうどんという料理は麺と出汁のバランスにおいて成り立っています。麺と出汁はお互いを高めあうように存在し、麺と出汁の重要性は5:5のイーブンという状態。この場合の出汁はスープとしての役割も果たしています。
 対してUDONにおいて出汁はタレやドレッシング程度、というと大袈裟ですが重要性は8:2程度になります。あくまで麺が主役であり出汁は薬味と同じく麺を引き立てる役に過ぎないのです。

 このように書くとうどんの方が複雑で高度な料理と思われるかもしれません。ある意味においてその通りで、うどんの方が技巧的であるとは私も思います。ただUDONにおいて主役として極限まで高められた麺の破壊力は、そのような前置きを吹き飛ばすに十分と言えるでしょう。

 私がUDONを食べる時に思い浮かべるのはSUMOUです。電光石火の立ち合いから両者激しくぶつかる、お互い一歩も引かず四つに組む、一気呵成に喰らってやろうとする私、UDONも一口目からよい小麦の香りで攻める、お互い引かない、両者力を込めながらも完全な均衡、ここで私かき揚げに手を伸ばす、力が増した私さらに押していく、土俵際までつめる、しかしUDONもねばる、歯ごたえとのど越しの強い二枚ゴシ、コシが強い、さらにねばる、ねばる、ねばる、が食べきる、食べきって私の勝ち。

 などと毎回考えているわけではないですが、いわばUDONを食べる時は常に真剣勝負、ゆえに食べ終わったときは満足感と征服感を感じるとか感じないとか。より複雑であろうとするうどんと、よりシンプルたらんとするUDON。名前は同じでも目指す方向が真逆であること。これこそが私がUDONに感じた違和感であり、惹かれた理由なのです。


UDONの営業形態
香川のUDON屋は営業形態によって大きく3つに分けられます。このうち50%が通常のレストランタイプ、注文を店員が聞きに来て持ってきてくれるタイプで、一見の店でも戸惑うことが少ない反面、値段も都市部のうどん屋とほぼかわらないものとなっています。
 次に45%と多いのがセルフタイプ。注文を受け取口兼レジで行うタイプで都市部でもよく見かけますが、かけ出汁や温め湯もセルフの店がありやや戸惑うこともあるかも。値段は一玉250〜350円程度。
残りの5%が製麺所タイプ。製麺所が兼業でやっているタイプで麺を作っている工場の横に机を出したり、店によっては屋外で立ったまま食う。ネギも自分で切ったり、値段も後で自己申告だったりと非常にアバウト。値段は一玉100〜200円程度。
 個人的にお勧めなのは二番目のセルフ形式。値段もお手頃ですし、店ごとの個性も楽しめます。味の方も大体セルフの店を選べばハズレはないかと。製麺所タイプも自分でネギ切ったりとおもしろいのですが、いかんせん数が少なく、郊外に多いのでなかなか難しいかもしれません。営業日・営業時間も限定している店が多いですが、チャンスがあればまた行ってみたいです。


・おすすめUDON
 まだまだ行きたくて行けていない店も多いですが、とりあえず行った中で美味しかった店を紹介。

1麺処 綿谷 高松店

 UDONの魔性を私に教えた店であり、高松に行った時はとりあえず一軒目に寄る店。写真は多分一番人気の肉ぶっかけ(小)。
 小でも非常に量があり、肉ものっていることからコストパフォーマンスは抜群。肉は甘めの味付けで添えてあるレモンと相まって麺を食べるスピードも上がります。
朝から動いて腹が減り、昼からも忙しい時などにガッ!と気合の入る昼メシです。


2森製麺所/3さか枝/4竹清


 スタンダードなセルフ店をまとめて3店。どれも役所のそばに集まってるのは、官庁が自分の昼飯確保のためにうまい店を集めたとしか思えない。
一見同じように見せますが、どの店も個性があるのがおもしろい。オプションのテンプラもそれぞれ豊富で美味。こういうUDON店こそ日常的に通いたいですね。


5しんぺいうどん

 胡桃ダレをかけたくるみうどんDX。個人的にあまりスープやタレに凝った店は不得意で、例えばカレーうどんのおいしい店などにもいきましたが、やっぱりそれはおいしいカレーうどんであってカレーUDONではない。
ただ麺をおいしく食べるための工夫なら大歓迎。この胡桃ダレはそのまま食べると甘味がやや勝って味がぼやけて感じますが、写真右上のレモン汁を足すことで味が締まり麺とタレのそれぞれが味わえるように。なかなかの注目株です。大体のお店は15時ぐらいで閉まる中、夜まで開いているのも県外民にはありがたいですね。



 さてUDONへの想いを無駄に長々と書いてしまいました。まあ所詮何店か回っただけのUDON初心者の戯言、なので百聞は一見に如かず、まあ一度現地にて本場のUDONを食ってみて下さいってことで。